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『THE ビッグオー』(ザ ビッグオー)は、1999年10月13日から2000年1月19日までWOWOWで放映されたロボットアニメ。また、それを原作とした有賀ヒトシの月刊マガジンZで連載されていたSF漫画。
当初の企画段階では全26話の予定であったが、諸事情により全13話に短縮されて製作、放送された。その後アメリカのCS系放送局カートゥーン・ネットワークで放映されて人気を博し、日米のファンからの評価に押される形で続編second seasonを制作。日本ではUHFアニメとして2002年10月から2003年4月まで放映(10月から12月までは第1話から第13話までのリピート放送。翌年1月から3月に放映された第14話から第26話が正式なsecond season)、アメリカでは引き続きカートゥーン・ネットワークで放映された(後年日本のカートゥーン・ネットワークでも放送した)。
アメリカで人気が出た事からも分かるように、桑田二郎など日本のオールド・コミック風にプラスして往年のアメリカン・コミックやカートゥーンを彷彿とさせる、スタイリッシュな画風が印象的な作品である。
謎に包まれた世界への明確な説明も無く、主要な登場人物の過去や正体については最後まで曖昧なままで伏線の回収もなされたとは言えないが、当時のアニメとしてよくあるパターンで終結させているとも言える。
ちなみにタイトルの由来は、スーパーバイザーであるさとうけいいちが小学生時代に学級新聞に載せていた4コマ漫画に登場したロボットの名前。当初は仮のタイトルとしてつけられていて、片山一良監督参画後「クロムガンナー」に決定しそうになったが、さとうけいいちの提案により1998年8月の企画書段階では「クロムガンナービッグ・オー」に。正式タイトルが決定したのは1999年6月のことである。
ストーリー
今から100年後、かつてマンハッタンと呼ばれていた『記憶を失った街』パラダイム・シティ。この街の住人は、40年前に起きた“何か”によって、パラダイムシティを残し他全ては死滅、そしてそれまでの記憶(メモリー)を―その“何か”に関する事も含めて―全て失っていた。しかしメモリーは、時に思わぬ形でその姿を表す。
主人公のロジャー・スミスは、凄腕のネゴシエイターとしてパラダイム・シティで仕事をしている。
過去の記憶を失って40年、ようやく再建されはじめた街の法秩序は完全ではなく、ネゴシエイションを必要とする場面は多い。だがしかし、そんな街において交渉だけで事が済む場合は少なく、暴力に訴えてくる相手も多い。そんな時、彼はメガデウス・ビッグオーを持ち出し、力に力で対抗する。
そんなある日のこと、ロジャーはひとつの依頼を受ける事になる。令嬢誘拐犯とのネゴシエイトという、彼にとっては朝飯前の依頼であったが……。 やがて彼はこの世界の謎と向かい合い、過去のメモリーと相対することになる。パラダイムシティを支配するアレックス、謎の女エンジェル、存在するはずのない「異国」… ビッグオーとロジャーとの関係が深みを帯び始め、主人公であるロジャー、アンドロイドであるドロシー、全ての登場人物が自分を取り巻く世界を信じられなくなった時、ロジャーはこの謎だらけの世界と対峙するのだった…。
登場人物
ロジャー・スミス(Roger Smith)
声 - 宮本充
パラダイム・シティ随一のネゴシエイター。元パラダイム・シティ軍警察。25歳。退役時は中尉であった。紳士であり、フェミニストだと自分では思っており、一見その通りのようだが案外頭に血が上りやすく、女性に対しても初対面では確かに紳士的だが親しくなっていくにつれ本性が出てくる。ドロシーの無愛想ぶりに閉口している。THEビッグの一体、ビッグオーを操るメモリーを持つ。しかし、ロジャーはビッグオーの備えている機能を全ては知らない。様々な機能を搭載した愛車「グリフォン」に乗って、仕事現場に向かう。病的なまでに黒を好み、そのせいでドロシーやノーマンの服も黒である(ドロシーからは“服の趣味は最低”と言われる)。彼だけがドロシーを抱き上げることができたり、鉄の枷を身一つで破壊するなど人間離れした怪力を発揮する描写がある。また一人で複数の相手をねじ伏せるだけの体術も身につけている。砂時計の収集と作成が趣味。ドラマCDによるとナイトキャップはミルクとチョコレートであるという。
Act:13のロジャーの悪夢(またはメモリー)の中では大都市を破壊する大量のTHEビッグのシーンがあり、これがいわゆる「40年前の何か」ではないかと考えられる。40年前若きゴードンと「この世界を演出する存在と交渉する」という契約を交わしており、写真も残っている。物語終盤でその写真を見たロジャー自身が40年間自分がずっと同じ姿であると発言しているが、その理由は自覚しておらず作中深く語られない。機械によるロジャー型アンドロイド大量生産のメモリーから、またロジャーがエンジェルと交渉している時に別の場面でもエンジェルの肩に手を置くロジャーが登場するなど、最も謎多き人物である。
グリフォン(Griffon)
ロジャー専用の黒塗りのセダン。タイヤのカラーリングが『ウルトラセブン』に登場するポインターと同じことから、その元となったクライスラーの57年式インペリアルのデザインから描いたと思われる。ロジャーの腕時計から遠隔操作が可能。ミサイルを搭載、グリフォンエンブレムの目が動き、照準にして発射。マシンガン、炸裂弾、盗難除けのガードまで装備。カーナンバーはアニメ版『ルパン三世 カリオストロの城』から。通信傍受、車体の色を赤く変えることまで可能。畳のように薄く長く、どこまでも切れないようなデザインでありながら2ドアしかない。
R・ドロシー・ウェインライト(R. Dorothy Wayneright)
声 - 矢島晶子
終始無愛想な少女型アンドロイド。身長160センチ。体重130キログラム。服のサイズは7号。元になったティモシー・ウェインライトの娘と同じく外見年齢18歳。メガデウスに関係するメモリーを隠し持っている。事件をきっかけにスミス邸の世話係としてノーマンとともに働くようになる。機械的かつ淡々としている彼女だが、製作者であるウェインライト博士に対しては豊かな感情と笑顔も見せていた。しかし、ストーリーが進むに連れて表情が軟らかくなり、ロジャーに対して冗談を言うまでになる。ピアノの演奏が得意だがそのレパートリーは極端なもので、毎朝奏でられるその音色によってロジャーは不快な目覚めを余儀なくされる。アンドロイドなので体重はかなり重い。
ノーマン・バーグ(Norman Burg)
声 - 清川元夢
スミス邸執事。身長195センチ。54歳。スミス家の家事は全て彼が行っており、またメガデウスを完璧にメンテナンスできるメモリーを持つ。彼がいなければロジャー・スミスの生活は成り立たない。何が起きても動じない冷静な精神の持ち主で、バイクからマシンガンまで、顔色ひとつ変えず自在に操ることができる。老齢だと思われがちだが、設定上の彼の年齢は54歳で、本当は中年である。「記憶を失う以前から、ロジャー様のお世話をしていた」と語る。ロジャーと同じタイプの腕時計を身につける。
ダン・ダストン(Dan Dastun)
声 - 玄田哲章
パラダイム・シティ軍警察。ロジャーの元上司。身長180センチ。47歳。Act:01で初登場し、その時点では少佐。ロジャーに対しては苛立ちと信頼が混ぜ合わさったような態度を取る。メガデウスでしか解決できない事件に遭遇すると、自分の無力さに苛立ちを覚える。部下たちには人気があり、最終話では三部隊がエンブレムを外してダストンについていった。
Act:10で異国のテロリストの陰謀を食い止めたのが認められたのか、Act:12より少佐から大佐に昇進している。このことは部下がダストンに向かって「大佐」と呼ぶので分かる。が、制作中に設定が伝わり切らなかったのか、Act:13,CDドラマでは「少佐」のまま。
ダストンが見た映画"Winter night phantom"はダストン自身が知らずに主役を務めていたことが発覚する。
エンジェル(Angel)
声 - 篠原恵美
神出鬼没、正体不明の女。幾度となくロジャーに接触してくる。身長175センチ。26歳。その名の通り、背中には天使の羽のような傷痕がある。時にはアレックスの秘書であったりする。Act:20でユニオンのスパイであったことが判明する。その辺りからロジャーに恋愛感情を意識し始め、アランに襲われているドロシーを助けようとするシーンでは、ロジャーを取り合うライバルとして救う気をなくしてしまう。ユニオンでは340号と呼ばれる。番号の由来は『ウルトラセブン』を参照のこと。余談だが監督らは作中の描写に対し、若いスタッフに「ウルトラセブンの友里アンヌ」と指示を与えたが、世代の違いで通じなかったそうである。
物語終盤で彼女自身がメモリーであったことをゴードンが告げているが、そのまま深く語られることはなく物語は終了している。
ビッグイヤー(Big Ears)
声 - 辻親八
ロジャーの馴染みの情報屋。身長170センチ。49歳。彼の付き合いはあくまで仕事の上でのものに過ぎないが、その身を案じるかのような助言をすることも。
物語終盤で実はアンドロイドであることが判明。最終話脚本ではパラダイムシティ全ての住人が作り物であったことが示されているが、その箇所はロジャー大量生産へと置き換えられている。
アレックス・ローズウォーター(Alex Rosewater)
声 - 石塚運昇
パラダイム・シティの一切を取り仕切る、パラダイム社の社長。43歳。自社の発展のためには、平気で人を消すこともできる冷酷非道な人間。その反面子供のような自己中心的な行動や発言が目立つ。一人称はいい年をして「ぼく」、父親に対しては「パパ」である。要するにファザコン。
ちなみに彼の周りには白い車やスーツ等なにかと白に関連したものが多い(ビッグファウも含める)。これは、あらゆる面でロジャーと対極に位置するということ表すための演出だと思われる。
物語終盤で、彼もトマト(施設で育てられた元老院議員らのクローン)の一つであったことが判明。Act:10他、元老院議員やメモリーを持つ若者を殺していたのはユニオンと協力して活動していたアレックスであることも描写されている。
ゴードン・ローズウォーター(Gordon Rosewater)
声 - 納谷悟朗
初代パラダイム社社長。40年前の事件に関係すると思われる。パラダイム・シティ郊外に巨大な農園を構える。
40年前、ロジャー・スミスに「この世界を演出する存在と交渉してほしい」と依頼する。
シュヴァルツヴァルト/マイクル・ゼーバッハ(Schwaltz Walt/Michel Seebach)
声 - 堀勝之祐
元パラダイムプレス社の新聞記者。尖がり頭を含めた身長は195センチ。ドイツ人。真実を追い求め、「40年前のパラダイム・シティに何が起きたのか」を独自に調査し、数多のメモリーを得ることに成功するが、逆に狂気に取り付かれる。地下に秘密を求め、ビッグ・シリーズのアーキタイプ(原型)を発掘。その時負った火傷を隠すため、全身を包帯で覆っている。その後、真実を追い求めた末にTHEビッグの一体、ビッグデュオを発見する。短期間でビッグデュオを乗りこなしロジャーの乗るビッグオーを圧倒するだけの操縦技量を持つ。40年前の真実を知らしめるべく、度重なる破壊活動を展開。ロジャー・スミスと対峙することとなる。Act:12で再登場した時、マイクル・ゼーバッハは既に死んでいるとエンジェルの口から語られているが、その後も亡霊のように幾度となく作中に姿を見せる。なおシュヴァルツヴァルトとはドイツ語で「黒い森」を意味する(作中のキャスト名はシュバルツバルト)。
アニメ版では既にシュヴァルツヴァルトと名乗った包帯姿だが、漫画版ではマイクル・ゼーバッハとしても登場している他、パラダイムシティで『透明人間』の映画のブームが起きた際、彼の包帯姿のようなコスプレが流行っていた。
ジェイソン・ベック(Jason Beck)
声 - 大塚芳忠
パラダイム・シティに跋扈する犯罪者の1人。身長190センチ。22歳。Act:01、Act:02でロジャーによって退治され、ダストンに逮捕されるが、ビッグオーとロジャーに恨みを晴らそうと、度々脱獄をして現れる。後にアレックスにより、ビッグファウの復活のために正式に刑務所から出てくる。インターフェイス関連のメモリーを持つ。性格は短気で自信家だが時には冷酷な一面も見せる(例としてはソルダーノを殺害するなど)が技術者としては前述のメモリーを持つことから天才的な手腕を発揮する。自身の髪の毛の色と同じ、黄色のスーツがトレードマーク。Act:18において落雷により、ロジャーがドミュナスだと知る。それまではロジャーがビッグオーを操っていたと全く知らなかった。Act:18でダヴ千田光男T・ボーン: 園部啓一と登場した。ロジャーからは「プロたる自覚なき犯罪者」、「チンピラ」と評されており、何処かコミカルで憎めないキャラとなっている。
漫画版では「金」の通称で知られる大物犯罪者「ベック・ゴールド」として描かれ、アニメ版ほどコミカルな部分は無い(その分は部下達がコミカルになっている)。
アラン・ゲイブリエル(Alan Gabriel)
声 - 二又一成
second seasonより登場。仮面をつけ、常に薄笑いを浮かべる謎の男。身体能力及び体術はロジャーに匹敵する程。反パラダイム社勢力「ユニオン」の諜報員であったが、パラダイム社側に寝返る。半機械人間の「ブーギー(お化け)」。アレックスの命により暗躍。ユニオンでは271号と呼称される。この番号は『ウルトラマン』に登場するダダから。アレックスに「君は新しい人間だ」と言われ、ビッグデュオ・インフェルノを与えられる。人間でも機械でもないため、ドロシーを混乱させる。ロジャーが持っている腕時計と同じ型の腕時計を身に付けている。ロジャーと同じく、腕時計からワイヤーを発射した。ちなみにインフェルノ搭乗時には若干違う覆面を身につけている。
ヴェラ・ロンシュタット(Vela Ronstadt)
声 - 紗ゆり
second seasonより登場。反パラダイム社勢力「ユニオン」の一員であり実質的指導者である女性。ユニオンでは12号と呼称される。エンジェル、アランとも深い関係にある。メガデウス・ボナパルトを街に送り込み暴れさせるなど、パラダイム・シティを脅かす。終盤にて、エンジェルの母親であり40年前の記憶を移植されたトマトの一人であることが発覚。
デイル(Dale)
38歳。ロジャーが出入する「スピーキージー」の店主。ロジャーとは顔馴染らしいが言葉は交わさない。
ティモシー・ウェインライト(Timothy Wayneright)
R・ドロシーの生みの親の一人。R・ドロシーを「孫」と呼ぶ。ドロシーを設計した。その際40年前の「何か」によって死亡した自分の娘のメモリーをR・ドロシーのメモリーに託す。他にもドロシー1、R・D、グリンダを作った。Act:14において少し若返った彼を見ることが出来る。